顎を引きなさい!
・・・小学校などの小さい頃に、
一度は、言われたことがある言葉だと思います。
私自身も、言われた覚えがあります。
実際、顎を引くのは、
「姿勢」「身体づかい」といったもののなかでも、重要なコツのひとつです。
顎が、へんに上がってしまっていると、首が無理な姿勢になりますので、
首根っこに負担がかかって、肩こりがきたり、
首自体に負担がきて、首こりとか、頭痛とかがきたり・・という、原因になります。
なので、顎を引きましょう!!!
・・・と、ここまではいいのですが・・・
実際、「顎を引き続ける」というのは、つらいものです。
まあ、そうですよね。
顎を引きなさいと言われたから、首にぐーっと力を入れ続けて、
顎をしっかりキープしてみたとして、
その状態、30分・・1時間・・
きつい、もう無理。。。となるのは、まあ仕方がないことでしょう。
もちろん日常生活では、「顎を引くこと以外」も考えないといけないです。
仕事のこととか、用事のこととか、今日の晩ごはんのこととか・・・
そして「顎を引く」ことから、気持ちが抜けてしまったとたん、
顎はいつのまにか、完全に挙がってしまう・・ということが、多いと思います。
でも、首こりとか肩こりとかは、防ぎたい・・・
だったら、顎を引かなければいけない・・・
そうだ!だったら、顎を引く筋トレをしよう!!!
・・・以上、昔の私が、実際に考えたことです。
実際、あごを手で押さえた状態で、無理やりあごを引こうとすることで、
あごを引くパワーをつけようとしたり、
あごにゴムチューブをひっかけて、引く力をトレーニングしたり・・
などなど、いま考えてみると、
なかなかにシュールなことをやっていました・・・笑
そして、いま考えてみると、
あごを引くのに、筋トレは必要なかった・・と、思います。
いま現在、私は、特に意識することもなく、
自然にあごが引けていると思います。
そして、おそらくはそれが要素のひとつとなって、
長年苦しめられてきた、頭痛とか肩こりとかが現在、すっきりと改善した生活を送っています。
でも、結論として、振り返ってみてみると、
あごを引くための筋トレが有効だった・・というよりは、
もっと別の要素が、圧倒的に大きく効いています。
その、別の要素とは?
・・・あごを引くための、「筋肉の使い方」です。
あごを引くときには、もちろん、筋肉を動かします。
そしてその「あごを引く筋肉」が、うまく使えていないとき、
あごは自然には引けず、いつの間にかあごが挙がってしまうようになります。
そもそも、あごを引くための筋肉って、なに筋?
いくつか、あるのですが・・・
いちばん重要なものをひとつ挙げるなら、「胸鎖乳突筋」です。
胸鎖乳突筋は有名な筋肉ですので、いろいろとご存知の方も、多いと思います。
胸鎖乳突筋はどちらかというと、あごを「キープ」するための筋肉ですね。
あごを引くというのは、あごを強力に下に下げる!というよりは、
引いたあごをそのままの位置に固定するほうが、重要だったりします。
まあ、あごの下でなにかを潰したいわけではない・・ということですね。
そして、胸鎖乳突筋がちゃんと使えていれば、あごはちゃんとキープできるのです。
書籍「身体運動の機能解剖」より引用
胸鎖乳突筋というと、上の画像に示した、赤色の筋肉ですね。
「胸骨や鎖骨」から「乳様突起」にかけて走っているので、胸鎖乳突筋です。
あごに、くっついていないじゃないか!・・と、もしかしたら思われるかもしれません。
しかし・・この筋肉はちゃんと働くことで、後頭部の位置をキープすることができます。
後頭部の位置がキープされれば、あごの位置もキープされますので、
「あごを引いた状態」を、ちゃんとキープすることができるのです。
あごが勝手に挙がってしまわない、自然にあごを引ける身体をつくる方法としては、
まず、この胸鎖乳突筋の感覚の開発が、いちばん有効だと思います。
そもそも、ご自身の胸鎖乳突筋を意識する・・なんてことは、
カラダ使いに特別な興味があるとか、医療関係者だとかじゃない限り、あまり無いと思います。
なので、ご自身の首に、この胸鎖乳突筋が走っていることをしっかりと認識し、
たとえば触ってみたり・・すこし強く動かしてみたり・・ストレッチしてみたり・・
いろいろと、胸鎖乳突筋の使い方を、試行錯誤して開発していくのが、
自然に顎を引けるようになる、いちばんの近道だと思います。
自然に、胸鎖乳突筋が使えるようになれば、
頭や首の位置は、自然にキープされるようになりますので、
いつの間にかあごが挙がってしまう・・ということは、少なくなるはずです。
胸鎖乳突筋は、「呼吸」をするための筋肉のひとつでもあります。
なので胸鎖乳突筋を使った「呼吸」を、練習してみる・・というのも、有効かもしれません。
この胸鎖乳突筋は、動かせていないと「首自体の痛み」につながることもありますので、
ちゃんと、意識したり、呼吸で使ったりして動かしてあげると、
あごを自然に引けるだけではない、いろいろなメリットがあるかもしれません。
今回はあごを引くのに筋トレは必要か?といったテーマでお話ししてみました。