胸鎖乳突筋が痛い・・!
痛む場所をピンポイントで理解し、この記事にたどり着かれたあなたは、
おそらく解剖学の知識をお持ちの方なのだと思います。
胸鎖乳突筋が痛い原因はいろいろあり、
よく言われているのは、枕が合わない状態で寝ることによる寝違えや、
首の体操のときに動かし方をミスって、ぐきっとやってしまった・・といったことだと思います。
それぞれ、決して間違いではないのですが・・・
胸鎖乳突筋が痛い原因は、実は、
胸鎖乳突筋を使った呼吸ができていないこと、である可能性があります。
胸鎖乳突筋が使えていないと、胸鎖乳突筋が、肩こりのように固まってしまい、
それが肩こりのように、痛みを引き起こすことがあるのです。
Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用
胸鎖乳突筋は、上の画像のような感じで、
主に、胸骨柄から乳様突起にかけて走っている筋肉です。
そしてこの筋肉は、頸部を屈曲・回旋・側屈する・・
つまり、首をいろいろな方向に動かす作用があります。
そのため、首を変な方向に向けたまま過ごしたり、急激に首を動かしすぎたりしたときに、
強い負担がかかってダメージを受け、痛くなってしまう・・ということは、あります。
しかし実は、この胸鎖乳突筋は、
息を吸うための「吸気筋」でもあります。
書籍「身体運動の機能解剖」より引用
上は、ある教科書からの抜粋なのですが・・・
実は、胸鎖乳突筋は首を動かす以外に、「息を吸う」機能もある、ということが、
ちゃんと教科書にも書かれているんですね。
具体的には、「乳様突起」を軸にして、「胸骨柄」のあたりを持ち上げるように動かすことで、
胸郭を動かして、呼吸をうながしています。
Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用
上の画像のような感じですね。
胸郭が持ち上げられると、その部分の肺がふくらみ空気が入りますので、
それで呼吸ができるのです。
ところで・・この胸鎖乳突筋をしっかりと使って呼吸をする、というのは、
意外とできている人の少ない、難しいことだったりします。
「呼吸が浅い」「呼吸が深い」というのは、よく言われることだとは思うのですが・・・
浅い呼吸しかできていない場合には、この胸鎖乳突筋はほとんど使えていないことが多いのです。
筋肉は、ぜんぜん使われていない場合、少しずつ固まってきてしまいます。
デスクワークで長時間からだを動かさないと、からだが凝り固まってきてしまいますよね。
あんな感じのイメージです。
胸鎖乳突筋は、呼吸のために使われるべき筋肉ですので、
これが使えていない場合、少しずつ固まってきてしまい・・最終的にはがちがちに固まってしまいます。
がちがちに固まってしまうと、いろいろな影響・・たとえば、筋膜に無駄な力がかかり続ける・・などによって、
痛みがでてきてしまうのです。。
ご自身で「呼吸が浅い」と思われたり、人から呼吸の浅さを指摘されることが多い・・・
もしくは、ご自身で首の前をさわると、がちがちに固まっている・・・
そういう場合は、深い呼吸ができていないことにより、胸鎖乳突筋が固まっている可能性が高いです。
それでは・・使われていない胸鎖乳突筋をしっかり使い、胸鎖乳突筋の痛みを解消するためには、
どうすればいいのでしょうか?
まずは、胸鎖乳突筋を使った、深い呼吸を身につけるのが第一です。
方法としては・・「鼻の奥で、できるだけゆっくり、できるだけ大きく息を吸う」練習をしましょう。
息を吸うときには、胸やおなかをしっかり動かすことが重要なのですが・・・
胸やおなかだけではなく、「首の前」もしっかり動かすように心がけましょう。
胸鎖乳突筋がしっかり動くようになるはずです。
胸鎖乳突筋がしっかりと収縮し、胸骨柄のあたりがしっかり持ち上げられる・・というところまでイメージできれば、
なお良いです。
深い呼吸の方法や、呼吸にかかわる知識については、この記事で詳しく解説していますので、
もしよろしければご覧ください。
今回は胸鎖乳突筋が痛い理由をテーマにお話ししてみました。