どんなに頑張ってもなかなか、仕事が進まない・・
でもすでにたくさん残業したので、残業制限に引っかかっている・・
・・仕事が終わらないのに、残業できない!
「仕事がまだあるのに残業できない」という矛盾は、よく起きます。
現代では、これ以上残業してはいけない!というルールが法律で決まっていますので・・
これに引っかかるけど仕事が残っている場合は、自然とそうなってしまいますよね。
そしてこの理不尽にさらされて、しかも上司に怒られたりすれば・・
いやいや、どないせーっちゅーねん!となっても無理はありません。
もしかしたらあなたも現在、そういう状況にあるのかもしれません。
そしてこの問題の解決は確かに、かなり難しいのですが・・
かと言って、何の手立ても無いわけではありません。
ちゃんと試行錯誤していけば、状況を好転させることはできると思います。
なのでこの記事では、仕事が終わらないのに残業できない!を何とかするには、どうすればいい?
ここを解説していきます。
目次
残業「できない」ってどんな状況?
そもそも・・仕事が終わらないのに残業できない、って具体的にどんな状況?
まずは、ここから解説していきます。
まず日本では、「残業できる条件」というものがあらかじめ決まっています。
このあたりの詳しいことは、
上の記事で書いたのですが・・
細かいところを省いて、すごくざっくり書いてしまうと、
- 「労使間協定」が無い場合、残業は一切させられない
- 「普通の労使間協定」がある場合、45時間/月までの残業をさせられる
- 「特別条項つき労使間協定」がある場合、100時間/月までの残業をさせられる
- 100時間/月以上の残業は、いかなる場合でもさせられない
この記事を書いている時点だと、労働基準法などに基づいて、こんな感じのルールになっているはずです。
大事なのは「残業させてはいけない条件」があるということです。
そして残業させてはいけない状況なのに残業させると、割とガチな法律違反になってしまいますので・・
仕事がいくら残っていようが、残業できない時はできないということになります。
特にこの記事を書いている時代では、「働き方改革」といったものがどんどん推進されていますので・・
残業時間のオーバーというのは労基署などに、かなりの厳しさでツッコまれることになります。
なので、たとえ社員・事業者ともに残業にやる気満々だったとしても、できないものはできない!となるわけですね。
しかしながら当然、終わらなかったぶんの仕事は消えてなくなるわけもありません。
なので仕事は残っているけど働いてはいけないという、とても矛盾した状況に置かれることになります。
しかもただ悩めばいい矛盾じゃなく、解決しなければならないタイプの矛盾ですね。
じゃあ、この矛盾はどんなふうに工夫すれば解決できるの?
以下、解説していきます。
「事業者に高いリスクがある」と知らせる
仕事が終わらないのに残業できない状況で、それでも残業させた場合は・・
労働者個人ではなく、「事業者」が高い代償を払うことになります。
そしてこれを上司・事業者に知らせるというのが、まず取れる対策になってきます。
仕事が終わらないのに残業できない!という状況で・・
「それでも無理やり残業させる」という行動を、上司は取りがちです。
仕事終わってないんだったら、終わるまでやれよ!という感じですね。
しかし上でも書いたように、ルールを無視した残業は「労働基準法違反」となります。
労働基準法
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
e-Gov「労働基準法」のページより引用、一部を強調表示
残業など労働時間まわりの決まりは、労働基準法「第三十二条」まわりで決まっていて・・
これに違反した場合は、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という罰則が与えられます。
そしてこれを受けるのは基本的に、ルールを破って残業をさせた「事業者」となるわけです。
6ヶ月?30万円?なんか軽くね?
と、もしかしたら思われるかもしれません。
このくらいなら、罰則覚悟で残業させちゃろう!と思うのでは?ということですね。
しかし労基法違反の本当に高いリスクは、実は罰則そのものにあるのではなく・・
違反すると「ブラック企業リスト」に載ってしまう、というところにあります。
ブラック企業リストというのは、正式には「労働基準関係法令違反に係る公表事案」というもので・・
上のリンクから、厚労省労働局ページに飛んで見ることができます。
さらには検索機能を提供しているサイトから、違反企業を検索することもできます。
実際に見ていただければわかるのですが、「違法な時間外労働を行わせた」企業といったものも、これにリストアップされています。
このリストには、さまざまな法律に違反した企業がリストアップされるもので・・
その法律にはもちろん、労働基準法も含まれるからですね。
そしてこのリストに載るのは、企業・事業者にとってすさまじいリスクとなります。
このリストは求職者・取引先・投資家などなど、あらゆる人たちにチェックされますので・・
このリストに載ってしまうと、
- ブラック企業だと思われ、新入社員が来ない
- 取引を拒否・中断されてしまう
- 投資を控えられ、株価が下がってしまう
こういった、致命的なイベントが起きる可能性が無いとはいえないわけです。
さらには違反企業として、業界で噂になってしまったり・・
ニュースになってしまってマスコミに叩かれたりと、そういったリスクもあります。
これらも事業者や上層部にとっては、相当に痛いことになるはずです。
そして事業者や上司・上層部は、書いたようなことを知らずに残業させることがままあります。
足を踏み外したら奈落の、危険な道に踏み込んでいると自覚もせず・・
残業しろ!もっと残業しろ!と、感情のままにごり押しするわけです。
そしてこの場合は、恐ろしいリスクがあることを知ってもらうのが何よりの薬になるかもしれません。
「そんなに高いリスクがあるなら、これ以上の残業はさせられない!仕事もとりあえず免除!」
こういう判断になってくれる可能性が、少なからずあるからですね。
というか・・仕事が終わらないのに、法律に引っ掛かるから残業できない!という状況では・・
まともな方向に行くなら「とりあえず仕事を免除する」以外の選択肢は無いのではと思います。
仕事をさせれば、それは必ず追加残業となってしまうからです。
あるいは、もうちょっと攻撃的な方向で会社と交渉するのなら・・
これ以上残業させるなら、労基署に駆け込むという姿勢も有効でしょう。
違法残業させられた場合、証拠など揃えて駆け込んでしまえば、会社はまず間違いなく「ブラック企業リスト」行きになりますので。
まあ、これはさすがにカドが立ちすぎる方向になりますので、本当の最終手段にはなりますが。
もちろん、カドを立てずうまいこと持っていくのはなかなか難しいかもしれませんし・・
知らせたとしても、聞く耳持たれずごり押しされる可能性もあるでしょう。
しかし仕事が終わらないのに残業できない!という窮地を脱するため、まず試す価値はある方向なのではと思います。
どうでもいい仕事を切り捨てる
仕事が終わらないのに残業できないときの対処法を、他にも挙げてみると・・
どうでもいい仕事を切り捨て、本当に必要な仕事だけに集中する
こういった姿勢も有効なのではと思います。
会社で働くと、さまざまな仕事をしなければいけませんが・・
その中には重要な仕事と、そうでもない仕事とがあります。
終わらせなくても別に問題ないような仕事も、それなりにあるわけですね。
特に、あまり効率よくビジネスを組めていない会社だと・・
やる意味が無いけど慣習だから残っている、みたいな「無駄な仕事」も多くなります。
そしてそれをやらなかったとしても、仕事はなんの問題もなく回ったりします。
しかし真面目な性格であればあるほど、すべてを完全に終わらせないと!と考えてしまいます。
その結果、どうでもいいような仕事もすみずみまで手を出し・・
それによって、残業時間をフルに使っても仕事が終わらない!となりがちです。
なのでこの場合は絶対に必要な仕事と、そうではない仕事を選別するようにして・・
絶対に必要な仕事だけを選んで、真っ先に終わらせるようにします。
そうすれば「残業できない状況」になったとしても、残りはさほど重要ではない仕事だけですので、あまり問題になりません。
もちろん仕事を切り捨てるためには、どれがやらなくても問題ない仕事か?の「目利き」が必要です。
仕事を選別しようとすると「必要な仕事を切り捨ててしまった」がもちろん起こり得ますし・・
これを起こすと社員は高いリスクを負うことになるので、ここは必須ですね。
そうやって仕事を仕分けしていき、やる仕事をもし半分まで減らせたとするなら・・
仕事量が半分になるわけですので、労働時間も半分近くまで削れるはずです。
そしてそうなれば「残業リミットが来たのに仕事が終わらない」なんてことにはならなくなるでしょう。
仕事の「分担」を最適化してもらう
仕事が終わらないのに、残業できないときは・・
上司や管理者に、仕事の「分担」を再考してもらう!
これも有効かもしれません。
部下が「残業リミットだけど仕事が終わってない」となるのは、そもそも良くないことです。
なので理想を言うなら、上司はそれをあらかじめ把握し手を打つべきです。
そうなる原因を調べ、解決しなければいけないということですね。
そしてこの原因も、本人の仕事が明らかに遅いとか、そっちにある場合もありますが・・
「仕事の分担」がボロボロだから起きている、という場合もあります。
例えば、
上の記事で解説するように、「仕事を振りすぎな上司」というのは多いものです。
理由はさまざまですが、基本的には平等に振るべき仕事を、1人に押し付けたりするわけです。
そしてこれをやられてしまうと、たとえ本人に人並み以上の実力があったとしても・・
あふれる仕事に押し潰され、どうしても終わらない!となりかねません。
どんなに優秀な人にも、そのキャパ以上の仕事を振ることは可能だからですね。
しかし上でも触れたように、残業リミットを越えて仕事をさせてリスクを負うのは事業者です。
なのでもし仕事の「分担」が原因で、仕事が終わらないのに残業できない!に追い込まれている場合は・・
リスクを引き合いに出してでも、分担が最適なものとなるよう働きかけるのがおすすめです。
もちろん実際には上司が鬼上司で、もっとうまく采配してくださいなんてとても言えない!
そんな場合もあるかもしれません。
しかし問題が「分担」といったところにあるなら、ここを変えない限り状況はずっと変わりませんので・・
何とかして、対応してもらう方法を検討するべき!となってくるでしょう。
今回は仕事が終わらないのに残業できないときの解決法をお話ししました。